コラム003:研究発表会を終えた雑感


長くなってしまったので,先に結論を書きます。時間のある方は続きをお読みください。

要するに「自分にしかできない すき間のことを見つけて 引き続きやっていきます」ということが言いたかったのです。

では続きを…↓


熊本大学教育学部附属特別支援学校の第33回研究発表会が開催

先週の土曜日,2020年2月15日(土)は,勤務校である熊本大学教育学部附属特別支援学校の第33回研究発表会でした。

おかげさまで,たくさんの方に参加いただきました。当日は雨の予報で,天候が心配されましたが,結果としてほとんど雨が降らず,すごくありがたかったです。

私は中学部所属なので,当日公開した中学部全体での道徳の研究授業への参加と,その後の時間帯の研究授業の裏で行った,研究授業ではない通常の授業(数学)を行いました。(ややこしいですね…)

中学部道徳の様子–2020年2月15日
(画像の処理をしています)

道徳は,おかげさまで教室いっぱいの参観者の方に実践を見ていただきました。

知的障害の特別支援学校における道徳について,中学部ではこの3年間,いろいろと試行錯誤をしながら実践を重ねました。

最近では,熊本大学の3人の先生方(今井先生,高崎先生,本吉先生)に支えていただきながら,丁寧に授業作りをしていったわけです。

研究授業の一つ前の授業後,授業について中学部職員と話す中で,以前から活用していた静止画の「気持ちのスイッチ」をふと,iPad教材にできるような気がして,「気持ちの棒グラフ」というPowerPointの教材を作ることを提案。そして若干の調整と,子どもたちに触ってもらうことを繰り返しながら,とりあえず形になり,当日を迎えました。

研究授業では,「気持ちの棒グラフ」を使って,子どもたちはいろいろな表現をしてくれました。シンプルに嬉しかったです。

内面の表出が難しい子どもたちもいるのですが,自分からの表出ができたり,細かなところまで気持ちを表現できたり。ただでさえ複雑な自分の気持ちを少しでも分かりやすく捉えるきっかけづくりとしても,効果があったように感じました。

事前に操作に慣れるために,通常の授業の中で普段使いしてもらっていたのも,よかったようでした。「気持ちの棒グラフ」はすでに一般公開していますので,学校現場でフリーで活用いただけます。

道徳後の数学の授業も終え,午後はポスター発表でした。2本発表。Teach Uについては,写真の右側です。


ポスター発表2件–2020年2月15日

貼りだしたポスターの前には,ディスプレイとApple TV,そしてiPad3台を用意し,体験ブースのようにしました。ポスター発表は,参加者の方と直接やり取りができていいですね。楽しかったです。

発表の様子–2020年2月15日
(知り合いの先生に写真提供いただきました)

普段から教材を作っては発信をしていますが,実はフィードバックがあまりありません。

ダウンロード数やサイトのアクセス数の変容を眺めるぐらいなので,自分のやっていることはこれでいいのか,どう改善しようか,などが本当に分からず,パソコンの画面に向かって独り言を言っているような気分になることもありますが,反応を返していただけるありがたさを感じた貴重な時間でした。

ポスターセッションには,昨年に引き続き,ポスターを見に来ていただいた方もおられました。普段使いをしている方ともお話しでき,顔を合わせたコミュニケーションの大切さを感じました。

お話の中で,「KeyNote版はないんですか?」と数人の方に尋ねられました。既存の環境の中で,低労力で多数の方に使用して頂けることを考えて取り組んだ結果,PowerPoint教材を作ることに行き着いたので,今後はKeyNoteも作らないとなぁと思ったのですが,まだまだ先になりそうです。PowerPointを覚えていただけるとありがたいんですけどね。それか,すっごく双方が互換性を高めてくれるといいんでしょうけど,それは難しいかなぁ(PowerPointの元は,元々Mac向けのソフトウェアだったらしいんですけどね…)。

勤務校は熊本市にあります。

熊本市は,今,ICT教育でノリにノっています。

勤務校も,熊本市と連携している熊本大学の附属校ということで,ちょっと恩恵を受けておりますが,熊本市管轄の学校ではないので,事情は違います。現時点では正直なところ,熊本市の方がICT環境は進んでいます。熊本市の教員の方向けに話をすることが最近ちょくちょくありますが,その度に,その恵まれたICT教育の環境をうらやましく思います。デジタルデバイド(情報格差)を感じますw

熊本市はこれから,それを扱う教師の研修などをどんどん進めていく段階なんだろうと感じます。

今,国は国際的な学力調査結果などを受けて,「GIGAスクール構想」を掲げ,全国的なICT推進を加速度的に進めようとしています。

これまでの力の入れようとは比べ物にならないほどのインパクトがあるので,今回は本当に学びの形が変わるかも,よく漫画などの描写に出てくる近未来の教室のような状態になるかも,という印象を個人的に感じています。

ただ,そんな状況でも,地域間のデジタルデバイド(情報格差)はまだまだ残るし,この差を埋めるには時間がかかると思っています。

なので,今ある環境でできることの可能性を拡げる取組はやっぱり大事だなと思い,今自分が取り組んでいるTeach Uの取組は,地道に続けていこうと,今回の研究発表会の参加者の方の反応を見て思いました。

最先端のことは,最先端の人にお任せして,技術と特別支援教育をかじっている自分は自分にしかできない,すき間のことを見つけて,これからもやっていこう,と。

役割分担,ですね。みんなで前に進んでいきたいです。

感想や教材の要望等を送って頂けるように,こちら↓に問い合わせコーナーを作っていますので,Teach Uを使われている方がおられましたら,よろしければ情報をお寄せください。よろしくお願いします。めっちゃ励みになります!メールアドレスを記入いただけたら,返信もできるだけします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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投稿者プロフィール

後藤匡敬
後藤匡敬
GOTOU, Masataka
熊本大学教育学部附属特別支援学校 教諭
熊本大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻 特別支援教育実践高度化コース 非常勤講師(2020年度~)

★「Teach U」管理者
★モリサワUDフォント・エバンジェリスト
ロイロ認定ティーチャー
★科研費(奨励研究)2018,2019,2021,2023年度採択 研究代表者
★デジタル庁「good digital award 2022」教育部門優秀賞受賞

#特別支援教育#ICT#ものづくり
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