コラム011:限定公開の落とし穴
昨日,このコラムを書きました。
たくさんの方に読んでいただき,反響がありました。
みんな,同じようなところで悩んでいるんだなと感じています。
そして,kintaのブログで特別支援学校のYouTubeの取組をまとめてくださっています。
勤務校である熊本大学教育学部附属特別支援学校の公式YouTubeページも紹介してくださいました。こう見ると,コロナ禍を受けて,学校で公式にYouTubeチャンネルをスタートさせているところも多いように思います。
背景には,このような通知があります。
ウ.ICTの最大限の活用
「ア」及び「イ」で述べたとおり児童生徒に家庭学習を課す際や学習状況の把握を行う際には、ICTを最大限活用して遠隔で対応することが極めて効果的であることを踏まえ、今回が緊急時であることにも鑑みると、学校設置者や各学校の平常時における一律の各種ICT活用ルールにとらわれることなく、家庭環境やセキュリティに留意しながらも、まずは家庭のパソコンやタブレット、スマートフォン等の活用、学校の端末の持ち帰りなど、ICT環境の積極的な活用に向け、あらゆる工夫をすること。なお、ICTを活用した遠隔での指導等を行う際の著作物利用に係る著作権の取扱いについては、平成30年著作権法改正による「授業目的公衆 送信補償金制度」が4月28日に施行となり、著作権者の許諾を得ることなく円滑な著作物利用が可能となることに留意すること(補償金額については、権利者団体において、令和2年度は特例的に無償として申請)。
新型コロナウイルス感染症対策のために小学校、中学校、 高等学校等において臨時休業を行う場合の学習の保障等について(通知) 文部科学省初等中等教育局 令和2年4月21日 2文科初第154号
2.臨時休業を行う場合に義務教育の重要性の観点から取り組むべき事項ー(1)特定警戒都道府県も含め、すべての地域において最低限取り組むべき事項についてー①学習指導に関すること
https://www.mext.go.jp/content/20200421-mxt_kouhou01-000004520_6.pdf
「 ICTを最大限活用して遠隔で対応することが極めて効果的 」
これを受けて,動き出している学校が多いのだと思われます。実際には,受ける前から,必要性を感じており,かつ,立場上動きやすい人が動き出している感じでしょうか。
YouTubeの「限定公開」の落とし穴
さて,このTeach Uでも,勤務校でも,公式YouTubeチャンネルをこのほどスタートさせました。
Teach U 公式YouTubeチャンネル「Teach Uチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UC3cCibYJqfG-64mfN3cQCXA
熊本大学教育学部附属特別支援学校 公式YouTubeチャンネル「FTKチャンネル」
https://www.youtube.com/channel/UCafcQhIuBx3c_lQWGzQ2_og
特に学校公式では,動画の内容によって,誰でも閲覧可能な「公開」の動画と,ご家庭にだけ見て頂ける「限定公開」に分けて発信しています。
この情報発信は,年度当初には予定していなかった業務であり,しかも突然出てきた業務なので,円滑に運用するには,特定の人に業務が集中しないようにする仕組みづくりが重要だと考えています。できるだけ無理なく運用させる必要が,情報発信を機能させるポイントでもあるのです。
範囲が「公開」の動画の場合,編集した動画に説明等を加えてYouTubeにアップロードすると作業は終了です。アップロード作業を分担するしくみにしてしまえば,OKなので,割と業務の分散がしやすいです。
しかし,範囲が「限定公開」の場合,ちょっと工夫が必要です。「限定公開」のしくみは,YouTube動画一つ一つに発行されるURLを公開したい相手にその都度伝える必要があり,その手段の確保が非常に重要になります。最近の学校の情報伝達手段は,公式の学校メールが主流のように思いますが,この編集作業はたいてい管理職や情報担当等が担っているようです。これはつまり,YouTubeの「限定公開」動画を一つ一つアップロードするたびに,管理職等が学校メールで各家庭にURL情報を配信する必要があるということになります。ただでさえ,未知の状況への対応で計画を立て続けなければならない管理職への業務集中を,+αの業務によって加速させるわけにはいきません。
そこで,勤務校では以下のようなしくみにしています。
「限定公開」のYouTube動画のURL情報を配信する学校メールの回数を抑えるために,「限定公開」動画のURLを一覧化したホームページを作り,そのページにパスワードをかけました。
具体的な方法は,セキュリティの都合上,この場でお伝えすることは差し控えますが,この仕組みにより,業務集中を分散することに成功しています。
他にも,YouTubeチャンネルを複数人で運用するブランドアカウントを採用して,業務の分散化を推進中です。ブランドアカウントについてはこちらから↓
今後ひろがると思われるテレワークの動き
先ほど紹介した文部科学省からの通知には,こういう項目もあります。
(2)在宅勤務におけるICTを活用したテレワークの実施について
今回のような緊急時においては、ICTを活用したテレワークが業務の継続性からも極めて有効である。
その実施にあたっては、学校設置者や各学校の平常時の一律の各種ICT利用のルールにとらわれることなく、学校の端末を持ち帰ったり、家庭の端末利用したりして、各教職員が情報管理に十分配慮しつつ、ICT環境を最大限活用すること。
その際には、一般に広く普及しているオンラインストレージなどのクラウドサービスや、ソフトウェアのインストールが不要なブラウザ上で使えるサービ スを適正かつ積極的に活用することで、成績情報等の機微情報を物理的に持ち運ぶ必要もなくなる。
一方、他の手段がなくやむを得ずUSB 等の記録媒体を用いて機微情報を運ぶ場合には、ファイルの暗号化、記録媒体そのものの保護の徹底、作業後の確実な削除、ウイルスチェックなど、各教職員が機微情報の扱いに細心の注意を払うこと。
新型コロナウイルス感染症対策のために小学校、中学校、 高等学校等において臨時休業を行う場合の学習の保障等について(通知) 文部科学省初等中等教育局 令和2年4月21日 2文科初第154号
3.臨時休業を行う場合の教職員の勤務について
https://www.mext.go.jp/content/20200421-mxt_kouhou01-000004520_6.pdf
在宅における教材開発等に,Teach Uの教材を活用してみてはいかがでしょうか。Teach U教材を使って,動画教材を作る方法など,今後お伝えしていけたらと考えています。
臨時休校時の記録シリーズ
全4回シリーズでまとめています。
“コラム011:限定公開の落とし穴” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。