コラム045:Teach Uのポッドキャスト番組を生成AIでつくってみた


ChatGPTの登場がきっかけに,対話型の生成AIが急速に身近になり,生活の中に入ってきました。文章生成から画像生成,音声生成に動画生成と,日に日にできることが増えています。MicrosoftのCopilot,GoogleのGemini,CanvaのCanva AI,Suno AI…。

たくさんあって,いったい何が何だかわからなくなってもきていますが,[生成AI 比較]などのキーワードで検索するといろいろヒットしますので,調べてみてください。生成AIが使えるようになったら,情報を調べる際も,生成AIと対話した方が,より求めている情報に行きつきやすいかもしれません。

さて,今回は,Googleの生成AI「NotebookLM」を使って,ポッドキャスト(ラジオ)番組みたいな音声データをつくってみた話です。実際にどう作ったかを残しておきたいと思います。

そもそもNotebookLMって?

そもそも,NotebookLMとは,Googleが提供するAIを活用した情報整理ツールです。最初名前を聞いた時は,新しいノートパソコンかなんか端末なのかなと思ってしまいました。以下のリンクに詳しく説明がありましたので紹介しておきます。


NotebookLMとは?Google 初の”AIノートブック”を徹底解説電算システム
https://www.dsk-cloud.com/blog/gws/what-is-notebooklm

このサイトにも書いてありますが,ウェブサイトや文章、PDF、音声、動画などあらゆる形式のデータをソース(情報元)に指定することができるため,不特定多数の情報からではなく,指定した情報の中から内容を出力することができるのが強みだと思っています。そのため,ハルシネーション(AI(人工知能)が事実に基づかない、または誤った情報を生成してしまう現象)が少ないのも特徴です。

できあがった音声データ

では,どんなポッドキャスト番組みたいな音声データができあがったのか。それがこちら↓

【ポッドキャスト風】Teach Uの紹介 (7分38秒)※試聴には,Googleアカウントでのログインが必要です。

Googleアカウントでログイン後,表示された再生ボタンを押してみてください(上図はサムネイル画像)

https://notebooklm.google.com/notebook/103d91cd-ae49-48b8-80a3-b306b9b7913e/audio

聴いてみたらわかると思うのですが,2人のラジオパーソナリティが掛け合いをしながらTeach Uについて説明しています。台本などを書いているわけではなく,ただTeach Uのページを教えただけでここまでまとめてくれるんです。これが何ともすごい。

実際にどうやって作ったのか

こちらのページを参考に作りました。

ついにやってきた日本人対話型ポッドキャスト量産システム。NotebookLM使えばなんでもポッドキャストになる(CloseBox)-TechnoEdge
https://www.techno-edge.net/article/2025/04/30/4325.html

実際にどうやって作ったか,方法を残しておきます。

①NotebookLMにアクセス

https://notebooklm.google.com

※Googleアカウントでのログインが必要です。
[新規作成]を押します。

②ソース(情報元)を指定する

今回はTeach UのWebサイトについてまとめてほしかったので,[ウェブサイト]を押しました。

[ウェブサイトのURL]にTeach Uのアドレスをコピー&ペーストし,[挿入]をクリック。

すると,ソース(情報元)のところにTeach UのWebサイトを指定することができました。

何回か試しましたが,読み込んだトップページしか参照してくれないようでしたので,参照してほしい他のページ(サブディレクトリ)をいくつかソースに指定しました。[ソース]の上方にある[+追加]を押すと,複数追加することができます。

③音声概要で音声データを出力する

画面右側の[Studio]にある[音声概要]の[生成]を押します。

数分待つと,音声データができあがります。試聴できる状態になります。

聞いてみた感想

実際にこの手順だけでポッドキャスト番組ができてしまいました。出力された音声データを聴きながら思ったのは,2人のやりとりがとても自然だったこと。会話の間に「えー」「こう」「まぁ」などの合いの手や考える間まで挿入されています。また,話の盛り上がりでの抑揚や,吹き出すのをこらえながらの発言など,細かな表現がたくさん盛り込まれています。

トークの内容は,1つの主張に2人とも同調するばかりでなく,逆の視点も入れながら語り合いの中でさらに理解が深まっていく設計になっていました。そして,最後に新たな視点の提案まであります。いろいろ試したり他の方の出力を聴いたりする中で,最後のまとめで,どうも新たな提案をする傾向にあるように,個人的には感じました。

今回は,Teach Uというサイトの深掘りをする内容でしたが,聴きごたえがありました。また,私自身が普段研修で話していることや,それ以上の表現を聴くことができ,なんだか感動しました。「そういうふうに評価してくれているんだぁ」と,聴いていていうれしくなる感じ。

実際のやり取りを文字起こししてみた

NotebookLMの音声概要があまりに面白かったので,音声データを文字に起こしたらまた面白いかもと思い,音声データを基に,Microsoft Wordのトランスクリプトを使って文字起こしをしてみました(トランスクリプトの使い方についてはこちらを参考にさせていただきました)。それをさらに吹き出しを付けて2人のラジオパーソナリティがやりとりする感じを可視化してみました。冒頭に紹介した音声データを聞きながら吹き出しを追ってお読みいただくと,さらに理解が深まると思います(文中に関連リンクを貼っています)。

今回は,2人のTeach U専属ラジオパーソナリティ「テイイチ」さんと「ゆう」さんの登場です。それでは,「テイイチ」さん,「ゆう」さん,Teach Uの深掘りをお願いします!

【ポッドキャスト風】Teach Uの紹介 (7分38秒)

  1. Teach Uが生まれた背景
  2. Teach Uのコンセプト
  3. PowerPointの機能後付けパワーアップ部品「TU Parts」
  4. サイト内の教材の検索
  5. 指導内容確認表
  6. 骨組み共有の文化

Teach Uが生まれた背景
テイイチ

はい、こんにちは。今回はですね、共有いただいた資料から、特に特別支援教育の現場で役立つパワーポイント教材サイト「Teach U」について、ええっと、深掘りしていきたいと思います。 

ゆう

はい。よろしくお願いします。 

テイイチ

まず、あの。ちょっと驚くのがこの数字なんですけど、2018年の調査で、先生方の82.5%、まあ大半ですよね。が、授業でプレゼンソフトを使っていると。

ゆう

ええ、そうですね。 

テイイチ

一番使われてソフトだと。 これってほとんどの先生がもうパワーポイントとかを、こう、普通に扱えるっていうことですよね。 

ゆう

そういうことになりますね。ただ、まあ同じ調査なんですけど、特別支援学校に限ると、その既成のデジタル教科書、これの使用率がわずか3.9%なんですよ。

テイイチ

3.9%。ええと、それはかなり低いですね。

ゆう

低いですよね。衝撃的というか、これ、あの背景としてはやっぱり一人一人の教育的ニーズが多様なので、既存のこう、画一的なデジタル教科書だとなかなか実態に合わないという。 

テイイチ

なるほど。なるほど。

ゆう

で、結果として多くの先生方がその個々の児童生徒さんに合わせて教材を、まあ、イチから自作されているっていうのが、あの、現状なんですね。  

テイイチ

うーん、そのご負担は相当なものがありそうですね。

ゆう

そう思います。

テイイチ

で、そのギャップというか課題を埋めようというのが、今回注目するTeach U(ティーチー・ユー)というわけですね。

ゆう

はい、そうです。 

Teach Uのコンセプト
テイイチ

これはえっと、特に知的障害教育に焦点を当てて、先生方の教材づくりをサポートするために作られたウェブサイト。 

ゆう

国の科研費、科学研究費補助金のサポートも受けて、熊本大学の教育学部と、あの、共同で開発されたものですね。

テイイチ

へえ、大学と連携して。サイト名のTeach Uと、あとロゴがスコップの形。なんか埋もれた教材を掘り起こすみたいな。 

ゆう

そうなんです。その意味合いも込められてるみたいですね。面白いですよね。 

テイイチ

ユニークですね。それで、このTeach Uの、えっと、教材のコンセプトが「できるだけ、シンプルに。」っていうのはまた興味深いんですが。 

ゆう

ええ、ここがあの非常に特徴的な点だと思います。あえて、こう、完成品を提供しないんですよ。

テイイチ

完成品じゃない。

ゆう

「骨組み」の状態のパワーポイント教材を提供するという形をとっています。  

テイイチ

「骨組み」ですか? 

ゆう

はい。その方が、先生方が担当されているお子さんに合わせて、例えば身近な先生とか、お友達の写真を入れたりとか。

テイイチ

あー、なるほど。

ゆう

ええ。言葉をちょっと変えたり、内容を調整したりっていう、そのカスタマイズが容易にできるように、という考え方なんです。

テイイチ

なるほど。土台を提供するから、あとは先生が、その子のことを一番よく知っている先生が仕上げてくださいねと。

ゆう

まさにそういうことです。その子を知る先生だからこそできる、その子にとって最適な教材作りの、まあ土台を提供するっていうのが狙いですね。 

テイイチ

でもそれって「骨組み」だと逆にひと手間がかかるみたいな感じで、完成品の方が助かるっていう先生も、もしかしたらいらっしゃるんじゃないかなと。 

ゆう

あー、それはそうですね。良いご指摘だと思います。確かにまあ、一長一短はあるかもしれません。ただ、このアプローチの根底にあるのは、やっぱりその子のことを一番よくわかっている先生だからこそできるその子にとって最適な教材作りを支援したいっていう思いなんですよね。 

テイイチ

うん。なるほど。

ゆう

なので、完全にゼロから作るよりは、ある程度質の高い「骨組み」があった方が、結果的には先生の負担軽減にもなるし、教材の質の向上にもつながるんじゃないかと。そういう考え方ですね。

テイイチ

確かにゼロからよりは土台があったほうが全然違いますもんね。しかも、その教材がパワーポイント形式っていうのもポイントですよね。多くの先生が普段から使っているソフトだから。

ゆう

そうなんです。そこも大きいですね。比較的スムーズに活用できるんじゃないかと。 

PowerPointの機能後付けパワーアップ部品「TU Parts」
テイイチ

さらに、TU Parts(チュー・パーツ)っていうなんか部品集みたいなものもあるんですね。これは?

ゆう

はい、これはですね、タブレット端末で教材を使うときの、こう、操作性を上げるための工夫から生まれたものなんです。 例えばページ送りのボタンとか、ヒントを表示するボタンとか。そういう便利なパーツを集めたものなんです。

テイイチ

それは。どうやって使うんですか? 

ゆう

これが簡単で、既存のご自身のパワーポイント教材にコピーアンドペーストするだけで、そういう機能を後付けできるんですよ。

テイイチ

あ、それは便利ですね。 既存の教材もパワーアップできる。

ゆう

そうなんです。結構優れものだと思います。で、さらに重要な点として、これらの教材とか今の部品、あとイラスト素材なんかも、クリエイティブ・コモンズの条件を守れば、教育現場で基本的に無料で使えるんです。

テイイチ

クリエイティブ・ コモンズ。ああ、それは大きいですね。 改変とかも条件次第でOKなライセンスですよね。無料で使えるのは本当にありがたい。 

ゆう

えぇ。教育目的であれば、かなり自由に活用できると思います。 

サイト内の教材の検索
テイイチ

サイト内で教材を探す機能っていうのはどうなってるんでしょう?

ゆう

はい、そこも工夫されてますね。 えっと、まず、サムネイルで一覧できるライブラリっていうのと、あとはキーワードとかで検索できる教材DB、データベースですね。これが用意されています。 

ゆう

ええ。それに加えて、自立活動とか生活、国語、算数・数学みたいに、教科ごとにも分類されているので、目的の教材が見つけやすくなっていると思います。 

テイイチ

なるほど。あと、ダウンロード数ランキングなんてのもあるんですね。 

ゆう

そうなんですよ。 他の先生方がどんな教材に関心があるのか、ちょっと参考になりますよね。

指導内容確認表
テイイチ

確かに。それから指導内容確認表というのも提供されているとか。

ゆう

あ、はい。これは新しい学習指導要領に基づいて、知的障害のあるお子さん向けの特別支援学校の各教科の指導内容が、小学校から中学校、高校までどういうふうにつながってるかっていうのを一覧にしたものです。 

テイイチ

へえ。つながりが見えるんですね。

ゆう

ええ。なので、教材を選ぶときだけじゃなくて、カリキュラムマネジメント、つまり、こう、系統立てた指導計画を考える上でもすごく役立つ資料だと思います。これもダウンロードできます。

テイイチ

なるほど、かなり充実したサイトですね。

ゆう

そうですね。

骨組み共有の文化
テイイチ

ということは、まとめると「Teach U」というのは、特別支援教育の現場で、先生方が直面しがちな、一人一人に合わせた教材を作る大変さという課題に対して、多くの先生が使い慣れているパワーポイントをベースにして、カスタマイズしやすい「骨組み」の教材と便利なツールやパーツを、しかも無料で提供してくれる

ゆう

はい。

テイイチ

これはかなり画期的というか、すごく意義深い取組と言えそうですね。 

ゆう

まさにおっしゃる通りだと思います。完成品じゃなくて、あえてカスタマイズの余地を残した土台を共有するっていうこの発想。これって特別支援教育の世界だけじゃなくて、もしかしたら他の教育分野とか、あるいは教育以外の分野でのなんか、知識とかノウハウの共有においても、新しいモデルになる可能性を秘めてるんじゃないかな、なんて思うんですよね。

テイイチ

ああ、なるほど。確かに、「骨組み共有の文化」ですか。

ゆう

ええ。もし先生方が自分たちの作った「骨組み」みたいなものをもっと気軽に共有し合えるような文化が広がったら、そこからどんな、こう、創造的な実践が生まれてくるか、ちょっと考えてみるのも面白いかもしれませんね。

テイイチ

そうですね。可能性を感じますね。今回は「Teach U」について深く知ることができました。ありがとうございました。 

ゆう

こちらこそ、ありがとうございました。 

こちらも参考になります

NotebookLM を解説!情報整理をAIで簡単にしよう Gemini – Google の AI note
https://note.com/google_gemini/n/n75516598b159

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