コラム034:触ればわかる,ルービックキューブ。を解きながら見えてきたこと
ずっと前からやっているのに,なかなかできないこと。ありませんか?
私の場合,ルービックキューブです。
幼少期から実家に置いてあって,父はできるのですが,私はどうやってもできない。
勝手にいじって崩し,放棄してテーブルに置いたままにしておくと,
しばらく経って自慢げに完成形が置かれています。父です。
教えてもらうんだけども,やっぱりできない。
どうしてできないのか,見当がつかないのですが,手元に置いてみたらもしかしたらできるようになるのかも,と思い,ちょっと高めの公式のものを買うことにしました。どれにしようか迷っていると,こんなものを発見。
ルービックキューブの「ユニバーサルデザイン」バージョン。UDってことにも惹かれて購入しました。
触ればわかる,ルービックキューブ。
のキャッチフレーズ通り,種類の異なる形状の突起物があり,指先の感覚で違いが分かるようなデザインです。白い面に突起物はありません。
中に説明書があり,ルービックキューブの解法が書いてありました。
解法のステップが7つぐらい書いてあって,ちょっと眩暈がしましたが,とりあえずやってみようと。
実は,載っていたステップのうち,ステップ2までは,幼少期からの試行錯誤で自力でできるようになっていました。なので,ステップ3から。
説明書を見ながら解きますが,まったく理屈が理解できない。
でも,いろいろなパターンを探しながら,説明書を見ながらだと,全部そろえることができます。
これは,気持ちいい。
解きながら見えてきたこと
説明書を見ながら手を動かし,完成。というのを何回か繰り返しながら,見えてきたことがあります。
①自力で理屈を考えながらやろうとしてきたからいつまでもできなかった
幼少期からいくらやっても,なぜルービックキューブができなかったのか。
父に教わっても,全くできなかった理由。それは,自分の性格上,理屈を理解し,納得しながらでないと先に進めないタイプなのですが,それが「ルービックキューブをクリアする」という長年の願望の達成を邪魔していたように感じました。イメージが湧かず,解法を耳で聞いても,実際の動きにつながりませんでした。
②答えを見ながら「できる事実」を積み重ねることで初めて見えてくるものがある
説明書を見ながら(答えを見ながら)ですが,自力で解くよりも「できる事実」の経験の方が時には大事なこともあって,実際にルービックキューブを完成させるたびに,ほんの少しずつ,理屈の理解が進んでいる気がしています。説明書の答えの意味を,自分なりの視点の角度で理解しようとしている自分を感じます。ルービックキューブの回転角度は最終的に正反対に回して相殺するような動きをしている,など。一度作ったものを崩す理屈が全く分からなかったのですが,少しずつ分かってきた気がしています。崩して戻す感覚。まだまだ今の段階では,あくまで,気がするだけです。
成功体験って,意欲ややる気の向上以外の部分でも意味があるんだなと,実感できました。
③達成感を感じるポイントが分かる
ルービックキューブを説明書の支えを受けながら解くうちに,「特にここができるようになりたい」というポイントを意識するように自然となりました。それは,「ステップ3ができるようになる」ということ。自分がつまずいていた最初の場所です。そこをとにかくできるようになりたいと思いながら,解いています。ステップ1→2は,幼少期の試行錯誤で身につけた力を発揮して,説明書を見ずに。ステップ3→7はしっかり説明書を見て,理屈が分からないままできる事実を積み重ねて。でも,自分ができるようになる鍵は,ステップ3ができるようになることだから,そこを意識して。ステップ3ができるようになれば,説明書を見ながら全部解いた時よりもはるかに達成感を感じるはずです。どんなに大きなことを答えを見ながらクリアすることよりも,自分一人でできる方が,やっぱり嬉しいもんです。
④自分で学び方を設定していることを感じる
面白かったのは,ルービックキューブの説明書って,紙に書いてあるので,3次元(立体)を2次元(平面)で表現してあるんですよね。なので,2次元の表現を見て3次元の思考をしないといけない。説明書自体,とても分かりやすく書いてあるのですが,どうしても自分で3次元のイメージを持ちながら2次元の説明書と照らし合わせる必要があります。説明書を読み解く必要があるわけですが,「あ,こう書いてあるけど,別の色の配置でも使えるな」という応用が始まったり,「説明書を見て,新しいことを今知っているな」という自分の客観視をしていたり,とにかくあれこれ思考をしている自分を感じます。そして,「次は少しずつ見ずにやってみよう」と,自分で定着するようなスモールステップを設定したりしていました。自分で学び方を設定していました。
学び方を学ぶ
自分の引っかかっていたポイントを分析しながら理解し,できる事実を積み重ねながら実感の中で気づきを重ね,自分が伸びるポイントを意識し,それを効果的・効率的に達成する学び方を設定する。
多かれ少なかれ,子どもたちにもこういった力を身につけてあげたいなぁ,と思いながら,ルービックキューブ・ユニバーサルデザインの手触りを感じながらくるくるキューブを回す2022年正月です。何でも学びにつなげて考えてしまう,職業病が出ました。
たまには,がっつりと学習者の立場になって感じるって大事だなと,新年早々思いました。
今年は,自力でできるようになりたいな。
2022年もTeach Uをどうぞよろしくお願いします。