コラム016:学校再開後のオンラインツールはどうなったか


これまでに3回,新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした臨時休校期間のことを記録してきました。

コラム013:臨時休校の記録(2019年度)
コラム014:臨時休校の記録(2020年度4月期)
コラム015:臨時休校の記録(2020年度5月期)

そして,年度まで跨いで長く続いた約3か月の臨時休校期間終え,2020年6月1日に勤務校は再開されました。

臨時休校中は,できることを模索した結果,オンラインのツールを何種類も活用することになりました。
学校が再開し,リアルな学びを再開してからのオンラインツールの必要性はどうなのかと,興味を持ちながら更なる模索を始めました。

学校の「新しい生活様式」がスタート~Zoom

Zoom全校朝会

3密(密集,密閉,密接)に配慮した初めてのことだらけの「新しい『学校』生活様式」とともに学校が再開。最初2日間は午前中の短縮登校。3か月ぶりの子どもも大人も揃っての連続登校ですので,学校生活を思い出すように無理をせず。

2020年6月1日,再開初日に,全校朝会が入りました。

Zoomでした。Zoomで全校朝会。学校に,みんないるのに。

2020/06/01 Zoom全校朝会

小学部も中学部も高等部は各教室で,あと保健室も,事務室も,職員室も,みんなZoomでつながりました。教室では,Zoomの画面をテレビに表示し,その画面を介してみんなとつながる構図です。10時から10分間だけ,校長室より校長先生からのお話でしたが,それはそれは子どもたちは静かに座ってテレビに映る校長先生の顔をじーっと見ていました。驚くほどに。

子どもたちからしてみれば,臨時休校期間中ですっかり慣れたZoomだったので,物珍しくて騒ぐこともなく,本当に普通に。なんだか穏やかに,Zoom全校朝会は進行しました。

学校中の様子を写真や動画で記録しましたが,校内を歩き回ると校長先生の声がどこそこと響き渡る感じで,それはもう校内放送でした。自分が小学生の頃の,教室の片隅にあったブラウン管の小さなテレビで給食時間に視聴していた校内放送を思い出しました。あれが高画質・高音質になったような感じ。

教頭先生がZoomのホスト役だったので,教室のテレビ画面に顔が大写しになっていて,それをじーっと子どもたちは見ています。リアルで全校朝会をするのと比べ,オンラインでテレビ画面を介した方が情報が焦点化されるから,こんなに子どもたちは集中するのかな,と感じました。

出演する生徒会の子たちが集まっていた場所

Zoomの全校朝会は次週も行われました。そこで初めて,児童生徒が出演する校内放送が行われました。生徒会の子たちが3密を保ちながら,一か所に集まってZoomで発信します。新入生の自己紹介があり,新入生の各教室からZoomの画面共有機能スポットライトビデオ機能を使った生中継を行う感じでした。「画面共有がうまくいかない」,「音声がうまく出ない」等,機器トラブルはあり,音声トラブルは,スマホで音源を流して,それをマイクで拾うという,原始的な手法で解決。トラブル発生時,「新しい手法×新しい手法」だと,対処が遅れてしまうので,こういうときは「新しい手法×原始的な手法」 が一番早く対処できる,という実感も持ちました。

Zoom職員会議

勤務校は,職員室ではなく各教室で執務をする文化がありまして,ちょっと独特です。各教室に元々執務用の机があります。大学附属校の特徴?なのかもしれませんが(自分が知っている他の大学附属校も,同様でした),それが功を奏してか,週の初めの「連絡会」(簡易版職員会議のようなもの)は,Zoomでした。

通常だと,職員会議の時に職員室に全員集まるのですが,それだと3密になるので,回避する方法としてのZoom利用でした。何の抵抗感もなく,運用されていまして,これはコロナ禍が明けても残る仕組みかも,と思いました。

Zoomのメリット,デメリット(個人の主観)

Zoomについては,全体的に,メリットを強めに感じました。

メリットは,
移動をしなくてよいので時間が有効利用できる
②参加者が遠くにいる場合でも参加できる
③資料の共有が簡単準備が楽(印刷作業,配布が不要)
ペーパーレス
雑談が減り効率的な会議ができる

逆にデメリットとしては,
存在を肌で感じることが難しい
雑談が減るので,自然発生的な発想のきっかけが生まれづらい
参加者に伝わっているか,ちゃんと話を聞いてくれているかどうか把握しづらい
機材トラブルで参加が難しいケースがある

でも,このデメリットは,工夫次第でなくしたり,和らげたりすることは可能です。そして,何を求めるかで,オンラインを選ぶか,リアルを選ぶかが変わってきます。密集を回避できる規模のミーティングであればリアルでもいいわけで。とにかく,選択肢が増えたのが大きいなぁと思いました。

3密を避けるとなると,自然と「オンライン」という選択肢が出てきますね。

学校の「新しい生活様式」がスタート~ロイロノート

高等部に,生徒一人1台iPadが整いました。6月の学校再開に合わせて,高等部の先生が準備をされ,間に合いました。こちらにも書いてある制度を活用しています↓

すると,5月に実施した掘りプロ勉強会で紹介した,ロイロノート・スクールのニーズがすごく高まっていたのか,バンバン使われ始めました。職員向けに「ロイロであそぼ」の研修を組み,ロイロノート・スクールで何ができるのか,イメージして頂けたのが要因の一つかもと,感じました。

それと,第2波が来た時,iPadを持ち帰ったとして,家で子ども自身が操作できるようになっておくのが一番理想なので,そのためには,授業だけでなく,宿題等,いろいろな場面で活用する,「『普段使いの仕組み作り』が非常に重要である」とをお伝えしていたことも影響したのかもしれません。とにかく,子ども1人1台環境では,ICTの積極的活用を進めることができることが分かりました。

ロイロノート・スクールを使うにつれ,「授業」や「提出箱」のネーミングについてのお悩みを聞くようになりました。フォルダのネーミングがバラバラで,把握しづらいようでした。どのようにすると,分かりやすくすっきり整理できるかは,今後検討をしていかねばと考えています。

あと,例えば「生徒によって,カードが送られる子と送られない子がいる」というような問い合わせもありました。結果,その時はアップデートで解決するわけですが,アップデートは「OS」と「アプリケーション」の2種類あるわけで,そういった理解や,具体的な対応方法を伝えることを考えないとな,とも思いました。

学校の「新しい生活様式」がスタート~Microsoft Teams

Teamsは臨時休校期間の後半に運用を始めたのですが,これはじわりじわり運用が広がっています。元々,校内にはWeb掲示板があるため,そちらを普段の連絡ツールとしています。Teamsが広がっていくタイミングは,次,出勤できなくなってしまった時かなと思っています。ただ,Teamsは「自宅で閲覧できる」のが校内Web掲示板との大きな違いなので,例えばオンデマンドの自宅研修をしたい,というニーズに応える手段は,Teamsかな,と思っています。その際,Teamsの同じチーム内で動画を共有できるMicrosoft Streamの活用用途が高そうです。

Microsoft Teams の中に Microsoft Stream

学校の「新しい生活様式」がスタート~YouTube

YouTubeは,学校再開後は更新がストップしています。

その情報発信の性質として,一方通行的で双方向性が低いため,リアルで双方向のやり取りができる学校再開時には,そのニーズが減っている印象です。今後は,第2波対策での利用以外にも,校外向けの情報発信のインフラや,子どもたちのオンデマンド学習のインフラとして授業で活用するイメージかなと考えています。

活用が進んだもの,滞ったもの

ここまで書いてきたとおり,オンラインツールの種類によって,その活用が進んだもの滞ったものが出てきました。もちろん,オンラインツールを使うことが目的ではないので,自然なことです。

これまでいろいろと分からないながらも試行錯誤して使ってきたことで, 各オンラインツールのイメージができ,「この場面でオンラインツールを使うべきかどうか」や「何のオンラインツールを使うとよいか」等を判断して選択できるようになったのが大きな変化と感じました。

様々なオンラインツールは,使用する前は「一体どういったもので,どういった場面で使うのか」という疑念が先に来てなかなか使用まで至りませんでした。今回の場合は,コロナ禍を受け,この限られた状況で何かできることはないか,という必要性が先に来て,それがオンラインツールを使うきっかけがとなり,模索の末,いつの間にか経験値が全体的に上がったため,オンラインツールの取捨選択と,積極的活用に結びついたように思います。こうやって,ツール等も淘汰されていくんだろうなと,感じました。

また,高等部では,「ICT」に関する授業が始まりました。
生徒1人1台環境が整い,一律に授業をすることが可能になったことで,指導しやすくなったためです。

高等部「ICT」  この様子をZoomで各クラスにオンライン配信しています

初回を見に行きましたが,「困った時の『ホームボタン』」「音量ボタン」「マイクの位置」といったiPadの各部名称や,「スワイプ」「ピンチイン/ピンチアウト」等のジェスチャ機能等を,各クラスに分かれてZoomを使って学んでいました。オンラインで基本的なことを丁寧に学ぶ意義は大きいです。共通言語を作り,後々の学習指導にも役立ちます。

丁寧に学び,あとはそれをオンデマンドで復習できるような仕組み作り(例えば短い解説動画を作っておいてYouTube等にアップし,URLをQRコード化して教室に貼っておく等)ができると,理解が深まりそうだなと思いました。

結論

自然発生的。淘汰された感じ。
オンラインはなくならない。一つの情報伝達インフラとしてすっかり浸透。

そんな雰囲気が,今の学校の「新しい生活様式」を創り出しているようです。

学校再開後,オンラインツールは,必要不可欠な情報インフラとなった。

これが,表題の結論です。

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投稿者プロフィール

後藤匡敬
後藤匡敬
GOTOU, Masataka
熊本大学教育学部附属特別支援学校 教諭
熊本大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻
 特別支援教育実践高度化コース 非常勤講師(2020年度)

★「Teach U」管理者
★モリサワUDフォント・エバンジェリスト

★(公財)学習情報研究センター
 「2020年度学習デジタル教材コンクール」学情研賞
★(一社)日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)
 「ICT夢コンテスト2019」優良賞
★令和2年度 熊本大学教育活動表彰 グランプリ(一般表彰区分/共同受賞)
★科研費(奨励研究)2018,2019年度採択 研究代表者

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