コラム036:ギャップをやさしく乗り越える


以前,こんなコラムを書きました。

このコラムでは,

・学校現場で使われる校務用のパソコンはWindowsが多いだろう
・学校にいる教員が使うタブレット端末はiPad,Chromebook,Windowsと自治体ごとにバラバラ
・教材開発などはPCで行うのが働き方の主流と考えると,[教材開発に使うPC]と[授業で活用するタブレット]のOSのギャップ(OSギャップ)は,ちょっと気になる

みたいなことを書きました。

学校現場の校務で使っているメインPCの(OS)種類って、何ですか?

先日,Twitterでこんなアンケートをとってみました。

87人の方が回答してくださいました。回答者は教員の方が多いとは思いますが,すべて教員とは限らないため,あくまで参考程度です。ただ,Windowsが一番多いだろう,という予測は当たりました。一番少なかったのはMacでした。

Windows,Apple,Google。3社がそれぞれで開発しているので,タブレットの使用感は結構異なります。ユーザーとしては別物のように感じる場合もあります。タブレットの見た目は,四角い金属製の板にガラスが貼ってある形状なので,大差はないんですが,いざ触ってみると,差があります。当然なんですが。それでも,以前に比べたら,お互いのタブレットがそれぞれの良さを寄せ合って,似てきたような気もします。技術って,使われていくと,ブラッシュアップされて,結局1パターンに落ち着く。そんなものなのかなとも思います。

初めてのものに触れる抵抗感と,乗り越える仕掛け

ちなみに私自身は,現在は「校務用PCがWindowsで,タブレットはiPad」ですが,ちょっと前までは「校務用PCがWindowsで,タブレットはAndroid」でした。初めて手にしたスマートフォンはAndroidで,今もです。いろいろなOSに触れてきたわけですが,一番最初はタブレット自体に触れることに抵抗がありました。スマートフォンも,周りの人がどんどんスマートフォンに変えていく中,しばらくガラケー所有者でしたが,ガラケーが不調になり,ずいぶん遅れてAndroidのスマホ(SamsungのGalaxy)に変更したような節があります。スマホ初心者の仲間入りをした私は,LINEなど,前任校の若手の同僚に教えてもらいました。

「Windowsは経験があるのでわかるけど,iPadもChromebookもわからないので自信がない」という心理は,「ガラケーは経験があるけど,スマホは自信がない」という心理とも似ているので,よくわかります。

Androidのスマホを触っていると,少しずつ理解が進みました。スマホで触っていたAndroidの経験が,職場のAndroidのタブレットを使う場面で通用しました。普段使っているものが一番わかる。いざAndroidのタブレットを使い始めてみると,あまり抵抗は少なかったように思います。iPhoneを使っている人はかなりいると思われますが,iPadが学校に導入された方は,iPhoneユーザーなら割とスムーズに活用できるかと思います。WindowsのPCやガラケーのみの経験の方は,タブレットは最初は結構苦労すると思いますので,周囲の丁寧なフォローは必至です。「自分も最初はそうだった」という意識で,一度に伝えず,質問されたら答えるスタンスでゆっくり浸透させていくのがいいみたいです。

使ううちに慣れてくるものなので,時間がたてばあまり気にならなくなることかもしれませんが,慣れるまでの最初の行動が,なかなか起こしづらいとも思います。最初の抵抗がとにかく大きい印象です。その抵抗を乗り越えるためのしかけは必要な気がします。大事だなと思うポイントは

・いかに活用イメージを持てるようにするか
・いかに普段使いを仕組むか

2020年度,まだまだタブレットの経験が少ない状況だった勤務校では,教員間の「あそび」で乗り越えました。「ロイロノート・スクール」というアプリの活用促進をねらって仕組んだ研修です。こちらで紹介しています。

校内研修等でタブレットの研修をお願いされた際には,これから使い方をつかむ段階のことも多い場合,必ず「デジタルツールあそび」から入るようにしています。わからないツールを楽しんで触る「デジタルツールあそび」は,初めての物に触れる抵抗感を乗り越えるのに有効な仕掛けと思っています。2020年度の経験から学んだことです。

「あそび」の中で経験値が上がると,概念がわかり,活用イメージが膨らんでいきます。研修は単発的ですので,あとは,普段使いをしくむことが大事だとも思います。ちょっとしたミーティングで使ってみたり,毎日の健康観察で使ってみたり,日々の「ちょっと」を習慣的に重ねることが,結局は普及するための近道な気がします。

今,気になっている2つのギャップ

このコラムを書こうと思ったきっかけは,今年度受け持たせていただくことになったとある自治体の研修でした。こちらの自治体は,Windowsタブレット,Chromebook,iPadを採用しているため,ニーズが多様であり,それらすべての端末をフォローする研修内容が求められます。研修内容としては,共通項を話していくような感じになります。

同じ学校内では,おそらくタブレット端末のOSは1つかと思いますが,そもそもパソコンがWindowsであるため,一人一人が触れる端末のOSは,その時点で複数になっている可能性があります。個人のスマートフォンをもっていることも想定すると,普段から3つのOSに触れる,という人も,少なくないように思います(私は3つです)。そんな中,学校現場の状況を今後個人的に見ていきたいと思っているのが,以下の2点です。

学校が変わった時のギャップ

自治体間で異なるOSが使われている状況は,タブレット普及前と比べると増えているため,「学校が変わった時のギャップ」は大人にも子どもにも起こると思います。OSだけでなく,アプリやクラウドサービスなどにも同じことが言えるように感じます。「以前いた学校では○○があったけど,新しい学校にはない」「今回の学校では△△を使うので覚えなおさないと」みたいなことは起きますよね。なので,環境の変わった人には,やさしい目で見て,丁寧なフォローをする必要があります。

次期更新時のギャップ

タブレット端末もパソコン同様,更新時期があります。買い替えの時期です。

端末の寿命の長さは,一般的には「スマートフォン < タブレット < パソコン」ですので,校務用のパソコンよりもタブレットの方が更新スパンは短いように思います。教育用のタブレット端末の値段は随分抑えられましたが,次期更新では,どのタブレットを採用するのか。はたまたBYODなのかなど,気にかけてみていきたいところです(端末の値段については,最近の極端な円安の流れも個人的に気になっています)。

タブレットをはじめとしたICTは,様々な可能性を広げると信じているので,少しでも多くの人が無理なく活用できるようになるために,自分にできる範囲でギャップを埋めるような取組をしていきたいなと思っています。自分にできる範囲って,「無理なくタブレットを使えるようになるための多方面からのサポート」ぐらいでしょうが。その一つが,この教材サイトの運営になりますね。

ギャップに直面する人が,ひょいっとやさしく乗り越える,そんなきっかけづくりができるといいなぁ,と。

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投稿者プロフィール

後藤匡敬
後藤匡敬
GOTOU, Masataka
熊本大学教育学部附属特別支援学校 教諭
熊本大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻
 特別支援教育実践高度化コース 非常勤講師(2020年度~)

★「Teach U」管理者
★モリサワUDフォント・エバンジェリスト

★(公財)学習情報研究センター
 「2020年度学習デジタル教材コンクール」学情研賞
★(一社)日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)
 「ICT夢コンテスト2019」優良賞
★令和2年度,令和3年度 熊本大学教育活動表彰 グランプリ(一般表彰区分/共同受賞)
★科研費(奨励研究)2018,2019,2021年度採択 研究代表者

#特別支援教育#ICT#ものづくり
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